何もかもキッチン【Vol.056】
10坪の住宅をリフォームする
築43年の家を大リフォームする
神田に住む松本さんの家は、敷地が10.8坪です。その敷地に2階建ての木造住宅があり1階2階とも9坪の総2階建て合せて、18坪です。その他に屋上にバルコニーがあります。間口1間半、奥行き6間ですから、間口が2m70cm奥行き10m92cmということになります。子供たちが独立したのを期に、これからも長く住み続けるために、大リフォームをした松本さんの家を紹介します。
ゆったりとした階段がほしい
43年前に建てられた家は、階段が12段で蹴上げが25cmと高く、しかも踏み面がせまく、螺旋階段のようです。初めて私がこの階段を降りたときは、両手を壁についてそろりそろりと降りたので、あまりの屁っ放り腰に笑われてしまいました。松本さんがこれから住み続けるためには、1番目にまず安全性を重視しなければなりません。
浴室は1坪(2帖分)ほしい既存の浴室は階段室を利用して作られたもので、穴倉に入るようです。昔は銭湯があちこちにあったので、神田に住む人たちの家に浴室があるというのは珍しいぐらいで、松本さん家も銭湯通いを楽しみ、家の浴室は予備という考えでした。 しかし銭湯がどんどん減ってきたので、予備の浴室に毎日入っているのですよ、とのこと。
ウォークインクローゼットがほしい寝室の隣に、ウォークインクローゼットをつくり、寝室にはタンスを置かずにすっきりとしたい。地震で家具が倒れたら危険なので、寝室には何も置きたくないということです。
トイレを広く平らに既存のトイレは、ちゃんと1帖分あるのですが、1階の階段の上にあるので、トイレ部分は床より1段上がっているのです。そのため、入るときはそうでもないのですが、出るときの一段下がりは危険です。特にドアを開けてすぐ下がるのは注意です。
一番目はリビングの位置松本さんから階段のこと、浴室のことなどの希望を聞いたことを箇条書きにしました。一番目に決めなければならないのが、どちらを向いて生活をするか、ということです。一番長い時間を過ごすのは言うまでもなく、リビングダイニングです。その場所は家の中で一番良い場所にあるのがよいのです。松本さんの南側の窓をあけると、1m先に7階建てのビルが建っていて見えるのは壁だけです。西側の家も東側の家も敷地ぴったりに建つ心配があります。なにしろここは建ぺい率100%という土地柄なのですから。 北川の道路は8m。塞がっているものはありません。青空が広がっています。ここでリビングは2階の北面と決まりました。
2番目に階段バルコニーを有効活用するためには、階段の位置はおのずと決まってきます。無駄なく、ゆっくりと昇るためにL字型の階段が決まりました。14段ちゃんと取れました。 途中に踊り場があるので、安全性もあります。階段室をウォークインクローゼットに取り込み、奥まで使用します。1階なので床下収納庫を設けて、ハンガーに収めきれないものや季節品が入るように大きいものをつくりました。
リフォーム後 1階

リフォーム後 2階

悩んだ洗濯機置場
1坪の浴室を確保すると、隣の脱衣室にトイレ。これはすんなり決まりました。そして洗面化粧台と洗濯機、これはどちらか片方しか入れるスペースがないのです。洗濯機にした場合、洗面化粧台は2階のリビングかキッチン横か、と打ち合わせを重ねているうちにキッチンの型がL字に決まりました。建物の増築は不可能ながら、少しでも何かを探しているうちに敷地にわずかの余裕のある南側に出窓がつくることが出来るのです。さっそく出窓をプランして、出窓の下に棚を設けて食品庫としました。
そうなると食品庫を有効に活用するためには、L字型なのです。このL字の折れ曲がったカウンターの下に、向こう側からドラム式の洗濯機をビルトインすれば、トイレの並びに洗面化粧台がおけるのです。
シンク面巾1,550、コンロ面2,200というコンパクトなL字型の中に食器洗乾燥機と洗濯機をビルトインしたのです。
松本さんと一緒に「なにもかもキッチン」と名づけました。飛行機内のパントリーのようです。
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神田はどんな環境
神田は神田紺屋町、神田比巣物町、神田富山町、神田美倉町など、小さい町が並んでいます。通りの向こうは、もう別の町名というのがすくなくありません。丁名のない町があるし、鍛治町のように丁名はあっても枝番がないところもあるのです。私は5丁名16番の20に住んでいますので枝番のない町は新鮮に思えました。
松本さんのプランは打ち合わせをしながら、神田に住むって、どんなだろうと、思いました。松本家から徒歩5分の半径圏内は、どんなところかと見物歩きをしました。
八百屋さんがありました。豆腐屋さん、鶏肉店、卵屋、ソース店、あんみつくず餅屋、さかな屋、洋紙店もあります。洋品店、全部個人商店です。八百屋は4軒もありました。「ミルクホール」というのれんをかけているフルーツパフェ店があるかと思えば、24代菓子店という和菓子屋さんもあります。つい芋ようかん1本170円を買ってしまいました。これからのお店屋さん、すべて木造なのに驚きました。店舗併用木造住宅ですね。
お店はやっていないけれど、ちゃんと一戸建てに住んでいる人たちも大勢いるのです。大きな冷蔵庫をもってまとめ買いなんてする必要のない町です。松本さんも大型冷蔵庫は必要ないのを確信しました。そしてお隣さん同士仲のよいこと。部外ではあまり見られなくなった「立ち話」風景がところどころに見受けられます。
私も住みたいな、神田。







