クロスで遊ぶ 【Vol.043】
クロスの選び方
クロスの寿命は何年?
「あのね、クロス選びに連れていってほしいの」と、柚原さんから電話がありました。
その時がきたのだ、と私はとっさに思いました。
柚原さんは10年前に、マンションのリフォームをした方です。家の中の段差をなくし、間取りも替えての全面リフォームで、大がかりな工事でした。そのために、工事中は引越しをしてもらい、マンションを空けてもらったほどです。
「前の工事のとき、クロスのショールームに連れて行ってもらったでしょ。このクロスは何年ぐらいもちますかと、ショールームの方に私が尋ねたこと覚えてる?」
「勿論ですよ」
10年前にサンゲツのショールームにクロス選びに、柚原さんとご一緒したときのことです。
そのとき、ショールームのアドバイザーは、7年ですと答えたのです。
どのメーカーも、クロスの耐用年数は7年程度としているところが多いのです。しかし、7年毎にクロスを張り替えている人は、実際にはほとんどいません。10年以上の人が多いのです。
最初張ったまま20年経過のお宅のクロス張替えのときは、するするとうまくクロスが剥がれないで、ポロポロと細かく、ちょうど日焼けした肩の皮膚が剥けるような具合になって、クロス屋さんが難儀な思いをしていたことがありました。クロスも劣化するのです。
さて、このとき私は「柚原家のクロス張り替えは、お嬢さんがお嫁に行った後だから、10年後かしら」と、言ったのです。
「娘はまだ中学生ですもの。10年後なんてとてもとても」とおっしゃった柚原さん。しかしそのとてもとてものお嬢さんが、やはり結婚されて、家を出て行かれたのでした。
10年前は、3LDKを2LDKへと、間取り変更をしたのですが、今度は仕様変更です。夫妻の寝室は夫室に、お嬢さんの部屋は妻室にと、夫婦別室にすることになりました。柚原夫妻、結婚してから初めての個室です。
クロスのショールームに行こう
家を新築したり、リフォームをしたりする際に、工務店や住宅メーカーは、見本帳を何冊かどんと持ってきます。
クロスの見本帳は、各メーカーごとに作ってあり、台紙に実物のクロスが、3cm×4cmの大きさに切って並べて貼ってあります。しかし、無地でも分かりにくいのに、花柄だったり、ストライプだったりすると、3cm×4cmの一部分だけでは、余計に分かりにくいのです。
クロスメーカーは、メーカーごとに必ずショールームを設けています。見本帳の小さなサンプルで、全体をイメージするのはとても難しい。というよりも、不可能です。
ショールームでは、タタミ一畳分の大きさのクロスサンプルが、スライドレールで引き出せるようになっており、番号順にずらりと並んでいます。10年前と同じく、サンゲツのショールームで、柚原夫妻と待ち合わせました。私は柚原家の図面を持っていきます。
ショールームでまず見せるのは、タタミ一畳分のサンプルではありません。3cm×4cmの見本帳です。見本帳はショールームで役に立つものなのです。
ショールームのアドバイザーの方に加わってもらい、一緒に見本帳から好みのものを3cm×4cmで何点か選んでおき、それを部屋ごとにクロス番号を図面に書き入れます。その図面を持って、今度は大きなサンプルを引き出してみるのです。一足先にショールームに着いた柚原さん。もうわかっているので、見本帳に何点かポストイットを貼ってありました。
再び二人の個室は好きなものを
10年前のクロス選びのときは、「無難に無難に」とおっしゃっていたご主人が選んだのは、リピート縦23.5cm横31.0cmのベージュ地に白い蔦の葉の柄です。
「大柄のリピートはおかしくないですか」
リピートは、繰り返しの柄と柄の寸法です。リピートは大きいのですが、白い蔦が、落ち着きをみせています。リピートが大きいと、柄あわせのときに縦リピート分だけ、余分にみておかないといけないので、割高になります。
「いくらぐらい割高になりますか」とご主人から質問があり、その場で計算してみました。選んだビニールクロス巾92だと、14巾必要なので、14×23.5cm×1000円=3290円。「好きなものを選ぶと3290円アップということですね」とご主人。
「私の好きなクロスは、どのくらいアップ?」と横から、夫人が大サンプルを指差します。夫人が選んだのは、もっと大きなリピートで、縦30.3cm横18.6cm。ピンクとブルーの大きなストライプの中に、花がびっしりと書いてあるもの。リピートは大きいのですが、一面が収納扉になっているし、部屋も小さいので8巾です。8×30.3×1000円=2400円アップで、合わせて5690円アップということになります。
しかし、「一番広いリビング分がこれにプラスされると心配」と言うお二人。
リビングルームは無地のクロスが良い
リビングルームは、無地を選びましょう。自分の部屋はそれぞれ割高でも、自分が好きな柄に囲まれて暮らしたいのに比べると、リビングは、二人だけでなく、子供たちや、友人たちも訪ねてみえる部分であり、絵や花を飾って楽しみの場でもあります。
そんなリビングに、緑色のクロスを貼ったら、観葉植物が美しくないし、ピンク柄では、飾った絵は沈んでしまいます。
10年前にご主人がおっしゃった無難なクロスがリビングに一番良いのです。反対に、トイレや洗面室は、お花を飾ったり、観葉植物を置くところではないので、思いきった色使いをしても良いのです。
そこで洗面室・トイレに柚原夫妻が選んだのは、クレマチスの花柄。
柚原夫妻と選んだのは、洗面室、トイレがクレマチスの花柄。リピートは縦23.5cm横31.0cmです。
さて、値段ですが、ビニールクロスは無地も柄物もほとんど同じ92cm巾で、1mが1000円と考えると、1090円/uです。これは、10年前と値段が変わりません。クロス張手間が1uにつき1000円。メジャーで部屋の壁を測ると、自分で計算できます。
リフォームの場合は、これにクロス剥がし料金が必要です。この料金が500円/u。天井も忘れずに計算してください。
柚原さん61uのマンション全体クロス替え70万円ぐらいでした。工事日数4日。




