子供部屋を“個室”にしないために 【Vol.011】
2人きょうだいの子供部屋
普段、学校に行っていて、いつもはいない子供達が、夏休みになると、毎日家にいます。
「いってらっしゃい。」と子供を学校へ送り出してから友人に手紙を書いたり、買物にでかけたり・・・など、いつも子供の時間に合わせて用事を足していたのが大きく違ってきます。
夏休みはお子さんと向き合うよい機会です。
しかし、お子さんが部屋にこもりっきりになってはいませんか?
子供部屋を単に個室にしないために家族の中の子供部屋を考えてみましょう。
まずは、小さなお子様がいるご家族の例です。
8才の女の子と5才の男の子の2人をもつ松山さんの家の子供部屋は、ワンルーム、ツードアにつくりました。
将来、男の子が中学生になった時に部屋を仕切って女の子の部屋と男の子の部屋を分ける予定をしています。
それまではせっかくの姉弟なのだから、一緒に過ごさせては、という私の提案と、松山さんの思っていたことが同じだったのです。
そして2つのドアに向かって、広い空間をとり、そこにファミリーコーナーを作ったのです。
ファミリーコーナーとは家族が一緒に遊ぶ場所です。
七夕の飾りつけをしたり、パソコンをしたり、音楽会をやったりする場所です。
遊びの途中で食事の時間になっても、そのまま散らかした状態で階下に降りて、食卓で昼食をとり、また続きをやります。
リビングルームとは別のところなので、不意の来客があっても平気です。
また、ファミリーコーナーをつくったお陰で、普段なかなか接する機会が少なくなりがちな父と子の会話も増えたそうです。
松山さん宅のお話はVol.42でもご紹介しています。是非ご覧下さい。
3人きょうだいの子供部屋
一方、こちらは年頃の17才と15才の女の子、12才の男の子の3人の子供をもつ前田さん一家の例です。
前田さんは、3DK 52平方メートルのマンションに住むワーキングマザーです。
男の子が中学生になるのでひと部屋あげたいと思っていた時に、そうなるとみんながひと間ずつ部屋を持ちたいと言い出しました。
「子供達は3人とも平等に育てたい。」と悩む前田さん。
私の提案は全員が個室を持つことでした。もちろん、母親の部屋も。
そこで、3DKを4DKにしたのです。
つまり、狭い空間を、またまた再分割したのです。
子供が自分の部屋を欲しがるように、母親だって自分の部屋が欲しいはずです。
3人の子供を育てながら働く母親なら、なおさら一番自分の部屋が欲しいのではないでしょうか。
それぞれの個室はスペースの関係上、ベッドの足元に机を配置した細長い長方形の部屋になりましたが、家族全員のための生活収納室をきちんととりました。
また、狭い個室なので、逆にみんな食卓のまわりに集まってくるそうで、家族のコミュニケーションも増えました。
私は子供が自分の部屋を持ちたいのは、なにも個室として使用したい訳ではなく、一人で泣くところが欲しいのだと思っています。
それは、親も同じです。
泣き場所に、広い空間はいらないし、便利さも必要ありません。
その分、リビングを広くして、個室から出てきて家族と向き合うほうがよいのではないでしょうか。