プロにお任せじゃダメ 【Vol.001】
こんにちは、竹岡美智子です。
私はこれまで設計事務所、住宅メーカーの設計課を経て、百貨店のインテリア部門へと勤務先を替えてきました。
最初に勤めた設計事務所で、設計家のアシスタントとして工事中の住宅現場に行ったとき、設計家と現場監督が大声で打ち合わせをやっていました。かたわらで、住まい手(施主)である主婦がぽつんと立っています。
私が主婦に「こんにちは」と挨拶すると、彼女は「プロの方にお任せしていますから」と2人を見て不安気な表情を浮かべました。というのも彼らは業界用語で打ち合わせしており、私にも内容はちんぷんかんぷん。主婦に分かるはずがありません。
会話の中で「さぶろく」という言葉が頻繁に出ていました。
学校の授業では、出てこなかった言葉です。
「さぶろくってなんですか?」
私の質問に、設計家と現場監督が話をやめて、こちらに顔を向けました。あきれた顔をして、「コンパネの話だよ」とひとこと。続けて、「コンクリートで何が出来るのですか?」と尋ねると以下のように返ってきました。
- コンパネというのは、コンクリートパネルの略でコンクリートを打つための型枠パネルで、厚さ12ミリのベニヤ板のこと
- 今回はコルクの下地材としてコンパネを使用しましょうと打ち合わせている最中
- コンパネの大きさは、3×6、巾が3尺で高さが6尺、つまり91センチ×182センチの大きさなので、何枚必要か計算しているところ
「なぁーんだ、そういうことだったのですか。工事中に何か、別の問題が起こったのかと心配してしまいました」私がそう答えるより早く、住まい手の方が安心した用に大きくうなずきました。彼女は私以上に、何が起こっているのか不安で仕方なかったのです。
何を話しているのかわからないということは、住まい手にとって一番不安なことです。質問することすら難しいのが現状です。この一件で、そう学んだ私は進んで業界用語を一般の方に伝える通訳者の役割をやるように心がけました。
設計者や工務店にとっては、設計例とか工事例という積み重ねの中がありますが、住まい手にとって、リフォームするのは初めてのこと。業界用語や現場用語がわからないのはあたり前なのです。
最も大事なことは、自分でやりたいことを相手にはっきりと伝えることです。
ブラウスやセーターひとつの買物を私たちは、試着して楽しみます。リフォームはとても大きな買物です。
数々の工程で積極的に意見を出し、うんと楽しみましょう。
プロに任せっきりではもったいない。一緒に作り上げる楽しみを感じて欲しいと私は思います。




