女性のセンスが光るイランのモダンなキッチン Vol.4

イランといえば、ペルシャ絨毯に座ってゆったりとくつろぐのが伝統的な生活スタイルをイメージしますが、近年ではソファや応接セットなどの家具を置いて、欧風の生活スタイルを楽しむ家庭が増えてきました。 親戚付き合いやご近所付き合いなど、とにかく人の行き来が多いイランでは、主婦は常に家の中を美しく保ち、家具やインテリアを素敵に演出するセンスも見事なものです。



リフォームはまずキッチンから
イランでは築2,30年ともなるとリフォームする家庭が少なくありませんが、一度に全体のリフォームを行うのは資金的にも大変。そこで、家を取り仕切る女性に一番身近なキッチンが、リフォームのファーストステップとなるようです。



夫まかせはやめて自分のセンスで
テヘラン北西部に在住のノールズィさんのお宅は、築20年ほどの2世帯住宅。一階はご兄弟の家族、2階にノールズィさん一家が住んでいます。妻の千鹿子さんは納豆も作ってしまう、お料理上手な日本人女性で3児の母親でもあります。昨年の秋にキッチンのリフォームを行いました。
イランに住んでまだ3年だった千鹿子さんは、住環境に関してはノールズィさんに一切を任せきりだったそうですが、「自分で使うキッチンだからこそ自分で選ぼう」と一念発起、理想のキッチン像を模索し始めました。
キャビネットだけの予定がキッチン全体に
そもそもリフォームを決心したのは、シンク下にあるキャビネットの扉の腐蝕がきっかけだったとか。そこで収納スペースが少なく使いづらい従来の鉄製キャビネットを一掃し、システムキッチンを導入することに。すると、すでにリフォーム済みの親戚の女性たちから、「タイル張りの壁や床も、この機会に新しく張ったほうが良い」といった助言が。しかも2,3日で簡単にできるというので、キッチン全体のリフォーム計画に拡大しました。
機能性よりも美しさが大事?
お料理好きの千鹿子さんに重要なのは、なんといっても機能性。ところが、姪っ子たちが言うには「お客さんが多いイランでは、美しさが一番なのよ」と。そこで美しさも考慮して、こんなこだわりリフォームとなったそうです。


収納スペースが多いキャビネットにして、見栄えも収納容量も大幅アップ。


イランではシンクの上、頭の高さぐらいの場所に、洗った食器を乾かす収納があり扉は両開き。開くたびに頭をよけたり、立ち上がった際に頭をぶつけたり。そこで、扉を上に開く珍しいタイプを選択。見た目も美しい。

キャビネットの材質は木質のMDF。色は汚れが目立たないチョコレート色で光沢があるもの。簡単そうな条件ですが、キャビネット屋さんは「千鹿子さんが求める色はない!」と言い張り、千鹿子さんは、「親戚の家で見たことがあるから絶対にある!」とゆずらず。結果は千鹿子さんの希望通りのものが見つかったのでした。


ピザやお菓子も作る千鹿子さんは、温度調節の難しいガスオーブンにうんざり。たまたま訪問した家庭で電気オーブンの存在を知り、タイミングよく導入。

そのほか、シンクをツインにしたり、レンジフードの取り付けフィルターの簡単丸洗い機能といった細部にもこだわったそうです。
いざリフォーム開始
床に大きめのセラミック、壁には長方形で小型のセラミックを張り詰めてモダンな雰囲気に。職人は来てもセメントが届いていなかったり、シンクはついたのに、シンクの排水口と排水管とつなげるのは別業者だから再手配…などとスムーズには進みませんでしたが、それでも1週間弱で完成しました。
千鹿子さんの感想
「イランではあまり選択肢がないと思っていたキッチンリフォームでしたが、理想のものを求めて自分の足で探しまわると、以外にもあったりして、最後まであきらめずに理想にこだわった甲斐がありました。満足いくキッチンですよ」。 いずれは「家全体をリフォームしたい」のだそうです。