中古住宅に「吹き抜け」を取り入れたタイの家 ワールドハウジング Vol.2

1997年のアジア通貨危機以降、景気が低迷していたタイですが、2003年にIMF(国際通貨基金)から受けた融資を完済しました。 それを待ち構えていたかのように、国内景気はうなぎのぼり。大型ニュータウンやコンドミニアムが次々と建設されるという不動産市場の好況とともに、新しいタイプのインテリア雑誌も創刊されました。 それまでのインテリア雑誌では、豪邸と呼ぶにふさわしい大型住宅ばかりを取り上げていましたが、新しい雑誌では規模の大きさや価格に関係ない「自分流」の住まい方を紹介しています。
タイの特徴的建築「吹き抜け」

タイの建築物を見ていて特徴的だと感じるのは、大きなビルの中央部分には必ず「吹き抜け」があるということ。それもごく一部分だけというのではなく、ビルの真ん中をくりぬいたような大きな「吹き抜け」もよく目にします。
写真はタイの4階建ての大型ショッピングモールの吹き抜け。1階のバーゲンの様子が各階から眺められる。
日本人の視点で考えると、「吹き抜け」を作らずにスペースを有効活用したほうがいいのでは?とか、冷房費がムダではないのか?とか、マイナスの印象を持ってしまうのですが、タイ人は、「開放感がある」「建物の全体が見渡せて、雰囲気が味わえる」というプラスの印象を持つようです。
この「吹き抜け」、大型住宅では1階のリビングルーム部分の天井を2階まで吹き抜けにしたり、階段スペースを広く取ってホールのようにするという手法が一般的ですが、今回ご紹介するのは両隣の家と壁を接するタウンハウスに「吹き抜け」を活用したというお宅です。
「吹き抜け」のリフォームで快適に生まれ変わった家
バンコク郊外のスアンルアン地区にお住まいのSeksan Klomsungnoen(セクサン・グロムスンヌーン)さんのお宅は、間口が4メートルで奥行きがある古い構造の2階建てタウンハウス。約3年前に購入したそうですが、もともとの造りは玄関を入って4メートルほどのところに階段があったり、2階にトイレがないなど不便な点が多かったため、「自分流」のリフォームを思い立ちました。

タイでは、陽当たりの良い住宅というのは室内の温度が上がる、または冷房の効きが悪くなるという理由から、窓は極力少なくしたり、小さくしたりする工夫がされています。しかし、以前の家の1階には玄関の横と裏手部分の2カ所にしか窓がなく、昼間でも電気をつけなくてはいけないほどの薄暗さ。加えて、風通しが悪いために壁にカビが発生していました。
写真は以前のお宅。外は明るいのに照明を点ける必要があった。
そこで、階段を2メートルほど移動する工事を行なうときにぶち抜いた1階の天井をそのままにして、小さいながらも「吹き抜け」を実現。また、屋根と天井の一部をクリアルーフにして採光面にも配慮しました。
インテリアは流行のコンクリート×白。トイレにはリゾートのエッセンスが。


リフォームする前のお部屋は吹き抜けが無いので階段付近が薄暗いです。
写真右がリフォーム後の吹き抜け。柱の手前が以前の階段があった部分。クリアルーフから光が漏れます。
「吹き抜け」の中央にはラタン製の丸いライトが。階段用の照明として購入しましたが、オレンジ色のやわらかい光は1階も明るく照らしてくれます。玄関と裏手は大きめのサッシ窓にして、風通しが格段に良くなったため、カビの発生を抑えるだけでなく、エアコン要らずの省エネ住宅が実現しました。
リフォームによって、すべてが快適に生まれ変わったセクサンさんのお宅ですが、たったひとつ想定外のデメリットが。「吹き抜け」の2階天井部分についてしまったクモの巣が、なかなか掃除できないのだとか。1階の床と2階の天井は約6メートル離れているため、脚立に乗っても手が届かず、悪戦苦闘しているそうです。
とはいえ、自分のアイデアで見違えるように生まれ変わったマイホームに、セクサンさんはご満悦の様子です。









