人が集いたくなる庭づくりのコツ

庭でホームパーティを楽しんだり、テラスで星を眺めながらビールを傾けたり…。 そんな、人が自然と集いたくなる庭を持つことは、私たちの夢ですよね。 しかし雑然とモノが置かれていたり、草がぼうぼうと茂っていたりすると、庭でゆったりとした時間を過ごすことは難しいもの。 そこで今回は、これまでに数々のエクステリアの設計・施工を手がけてこられた、『ザ・シーズン』のデザインディレクター、楢館理佐さんに「人が集いたくなる庭づくりのコツ」について、お話をお聞きしました。
トレンドは、眺める庭より“過ごす庭”

最近の傾向としては、“眺める庭”より“過ごす庭”が流行っています。 “過ごす庭”とは、庭で食事をしたり、愛犬と遊んだり、読書をしたりして寛ぐことのできる庭のこと。こうした庭は、オープンカフェが日本に定着して以降トレンドとなったもので、『アウトドアリビング』とも呼ばれているんですよ。 今回は、これまで私が手がけたお宅をご紹介しながら、“過ごす庭”のポイントをお話しします。
〜ゆったりした広さの庭なら、屋外でクッキング!〜

こちらのお宅は、リフォーム前には庭に垣根があり、草や植物が 生い茂っているような、いわゆる昔ながらの“眺める庭”だったんです。 「家族や仲間が集まって楽しく過ごせる庭にしたい」というご要望が あったため、ならば思い切って、調理や食事ができるような庭にしようと考えました。

幸いじゅうぶんな広さがあったので、冷蔵庫を内蔵したカウンターキッチンを備え付け、 わざわざ室内で調理したものを庭に運ぶ手間を省きました。炭をおこしてバーベキューを することもできますし、常備してあるコンロで代用することも可能です。

また、こちらのお宅では犬を飼っていらっしゃるので、ワンちゃんの爪が痛まないようにウッドデッキには柔らかな木を使用しています。また、芝生スペースを設けることでドックランの役割を果たすとともに、リゾート感を演出し、室内から庭へ出たときに気持ちの切り替えができるように工夫しています。
すると、庭をリフォームしてから、週末には家族そろって庭で食事を楽しまれるようになったのだとか。ウッドデッキのメンテナンスも、汚れ防止の塗料を年に1度塗り替えるだけでいいので、とても楽なんですよ。
狭いテラスでも、工夫しだいで素敵な空間に!

ただ、みなさんこんなに広いお庭をお持ちだとは限りませんよね。そこで、狭い空間を利用してつくったテラスの事例をご紹介しましょう。こちらは、テラスにイスとテーブルを設置しただけですが、より心地よさを演出するために、いくつかのポイントが盛り込まれています。

〜タイルや照明で“見せ場”をつくる〜
ひとつは、テラスのなかに一部分だけ、『フォーカルポイント』と呼ばれるテラスの“見せ場”をつくるということ。見せ場といっても難しいものではなく、一部分だけタイルを張ったり、お気に入りの照明でライトアップしたりするだけでも、じゅうぶんフォーカルポイントの役割を果たしてくれます。心地よい空間が生まれ、自然と人が集うテラスになりますよ。

〜テラスの高さを調節する〜
もうひとつは、部屋とテラスの高さを合わせるということ。つまり、バリアフリーにするということですね。どうしても、段差があることで、心理的に外に出づらくなってしまうんです。最近では、簡易式のタイルやウッドデッキが販売されていますから、それをテラスに敷いて高さを調節するとよいでしょう。裸足で出られるようになれば、テラスに集う機会も増えてきますよ。
リフォームをする前に、これだけはCheck!

エクステリアのリフォームを成功させるために、あらかじチェックしておきたいポイントがあります。
〜必要なもの、不要なものを整理する〜
まずひとつは、庭やテラスに置かれている植物や置物を、必要なものと不要なものに分けておくということ。どうしても捨てられない思い出深い品は、事前にピックアップすることで、それらを組み入れた庭づくりの構想を練ることができます。
〜図面や写真を用意する〜
2つ目は、業者に依頼する場合、事前に図面や庭の写真を用意しておくということ。とくに重要なのは、壁や垣根など、お隣との境界線が分かる図面と写真です。また、室内や建物の写真も合わせて用意することで、全体の雰囲気にあった庭をつくることができます。
いかがでしたか?ご自宅の庭やテラスをどのようにリフォームしたいか、イメージは湧きましたか?庭を“アウトドアリビング”として捉えることで、発想が広がりそうですね!
[取材協力] ザ・シーズン

ハイクオリティエクステリアを演出する設計・施工の専門ショップ。 依頼主に専任のデザイナーがつくため、打ち合わせからデザイン、施工まで、じっくり相談することができる。 その高いデザイン性とスキルには定評があり、戸建て住宅からマンションまで、幅広く手がけている。