収納上手でスッキリ片付く家に


「収納は人生の目的を達成するための手段」とおっしゃる飯田久恵先生は、これまで“収納カウンセラー”として、数多くの一般家庭やオフィスの収納相談を行ってこられました。 長年の経験により裏打ちされた収納ノウハウは、各方面から大きな注目を集め、今では「整理と収納」に関するカウンセリング講座や、テレビ、雑誌などで幅広く活躍していらっしゃいます。 今回は飯田先生に、『リフォームの際に気をつけるべき収納のポイント』についてアドバイスをいただきました。
こんなお宅は、リフォームすべし!
『家が片付かない…』と悩んでいらっしゃる方の多くは
- 収納スペースが足りない
- 置きたいところに収納場所がない
- 収納スペースと収納品のサイズが合っていない
という、3つの問題を抱えていらっしゃいます。 例えば、家族みんなが集まるリビングを例にあげてみましょう。
たいていの場合、リビングは、家の中で最も快適な室温が保たれている場所。お母さんが、アイロンがけや裁縫などをしたり、お父さんが読書をしたり、お子さんがゲームをしたり…。快適な場所だからこそ、家族それぞれがリビングで用をすませることが多くなります。
ですから本来、リビングは最も多くの収納場所が必要なのですが、実際はそれが確保されていない場合が多いのが現状です。そのため、当然リビング以外の場所(例えば廊下や階段の物入れなど)に物を収納することになります。
だからといって普段リビングで使用する物をリビング以外の場所に収納すると、出し入れがとても面倒。その結果、使用した物をすぐに片付けられなくなり、出しっぱなしになってリビングが乱雑になってしまうという悪循環に陥るのです。
また、リビングに収納スペースがある場合でも、収納したい物と収納スペースのサイズが合っていなければ、効率よく収納ができません。
このように、家の中が片付かない原因が「(1)収納スペースが足りない」「(2)置きたいところに収納場所がない」「(3)収納スペースと収納品のサイズが合っていない」の3つによるものならば、リフォームを行うことで片付けやすい家に生まれ変わることが可能です。 では家の入り口から順を追って、リフォームのポイントを見ていきましょう。
玄関回りは不要な靴を処分して、天井まで届く靴箱で収納力アップ!
カウンセリングを行っている中で、『玄関が片付かない』という方は意外と多いものです。玄関が片付かない主な原因は、手持ちの靴がすべて靴箱に収まりきらず、たたきいっぱいに散らばっているから。 収納スペース以上に物があれば、収まり切らないのは当たり前。まずは、定期的に靴箱をチェックする習慣をつけ、使用しそうにない物は、思い切ってリサイクルに出すなどして処分してしまいましょう。
靴が収まり切らないお宅の場合、収納スペースの少ない“カウンター式の靴箱”が設置されているケースが多い傾向にあります。マンションなどに作りつけられている靴箱のほとんどが、このカウンター式でしょう。 もし、あなたのご自宅も同様でしたら、天井まで高さのある靴箱にリフォームし、収納力をアップさせることをオススメします。その際に注意しておきたい点は次の3つです。
(1)靴箱の中間部分に少しスペースを作る。
中間にスペースを作ることで、ちょっとした小物も飾ることができ、ゆとりのある空間が生まれます。
(2)靴箱の一部にハンガーパイプをつけ、コートをかけるスペースを確保する。
犬の散歩などで、いつも使用するジャンパーなどをかけておくと便利です。
(3)靴箱下の空スペースを有効活用する。
靴箱に、脱いだばかりの靴をしまうのは抵抗があるもの。靴箱の下に少しスペースを作り、そこに脱いだばかりの靴を一時収納すれば、たたきが散らかりません。
キッチンのリフォームは“4種の収納”を確保して
リフォームしたい場所No.1は、なんと言っても水回りのキッチンではないでしょうか。キッチン回りをリフォームする際に必ず押さえておきたい収納のポイントは、以下の4つ。順を追って説明していきましょう。

(1)食器棚は小ぶりの物を選び、コンパクトにまとめる。
狭いキッチンスペースの中で、最も場所を取るのが食器棚。(1)〜(4)の収納スペースを考え、必要最低限の大きさに抑えて、コンパクトに収納することがキッチンを広く使用するコツ。
(2)電化製品は一ヶ所にまとめ、効率よく配置する。
意外と置き場所に困るのが電化製品の数々。電子レンジ、炊飯器、オーブントースター、コーヒーメーカー、ポット、ジューサーなどは、一ヶ所にまとめることで使い勝手もよくなりスッキリと見せることができます。
(3)ゴミ箱は通路に置かないことで、見た目もスッキリ。
設計の段階で必ず確保しておきたいのがゴミ箱の置き場所。燃えるゴミ、燃えないゴミなど、いくつものゴミ箱がキッチンに散乱しているのは見苦しいもの。ゴミ箱の位置を設計時に決めることで、キッチンスペースを有効に活用できます。
(4)食料をストックする場所を確保する。
根菜類や果物、パン、レトルト食品など冷蔵庫に入れないストック食品は、意外と収納場所に困るもの。食料入れを設置してスッキリと収納することで、食料品の把握もしやすくなります。
自分のスタイルに合わせて、家具をチョイス!

食器棚、電化製品、ゴミ箱、食品入れ…。よほど広いキッチンならともかく、限られたキッチンスペースの中に、これらの4つをコンパクトに収めるのは、なかなか大変なこと。実は、今まで市販されていたキッチン家具のほとんどは、大型の物が主流。そのため日本のキッチンにそぐわない物が多く、なかなか理想の家具が見つからないという声が多かったのです。
そこで、私が依頼を受けて開発したのがカリモク家具販売株式会社の『kitchit・i(キチット・アイ)』。この商品の特徴は、食器棚、ゴミ収納、キャビネットなどを、自分のキッチンのサイズに合わせて、必要な物だけを組み合わせられるというシステム家具。高さを持たせ、収納力もアップ。また、すべて同一デザインで揃えられるので、統一感を持たせられるのも魅力です。
このように、キッチン回りをリフォームする際には、上記の4つの収納場所を確保しつつ、ご自分のキッチンにあった大きさの家具を賢くチョイスすることがポイントです。
クローゼット収納のコツは“ハンガー”“棚”“引き出し”の有効活用
衣類や小物の収納方法は「ハンガーやフックにかける」「引き出しにたたんで並べる」「棚にたたんで重ねる」という3つです。
基本的には、洋服店で販売されていた時と同じ形の収納方法が見やすく取り出しやすいのです。例えば、ハンガーにかかっていたジャケットなら家でもハンガーで、畳んで棚に並べられていたカットソーなら、家でも棚を利用して収納するのがベストでしょう。

「収納指数(R)」は、できるだけ少なく
物を出し入れする時には、収納されている(あるいは収納する)場所まで歩き、クローゼットや引き出しを開け閉めして、物を出し入れするというアクションが発生します。私は、このように物の出し入れに必要な歩数とアクション数を足した数を“収納指数(収納にかかる手間)”と表しています。収納をカンタンに効率よく行うためには、この“収納指数”をできるだけ少なくする必要があります。
例えば、クローゼットの中にボックスタイプの引き出しを入れ、セーターやカットソーなどを収納していらっしゃる方も多いと思います。しかし、収納指数を低くするためには、クローゼット内に“棚”を設置して、そこに衣類を重ねて収納する方がベターです。
なぜなら、引き出しに入れてしまうと「(1)クローゼットを開ける→(2)引き出しを開ける」という2アクションかかるうえ、引き出しを開けないと収納されている中身が分からないため、目当ての洋服を探す手間がかかります。
しかし、棚を利用すれば「(2)引き出しを開ける」という手間を省くことができますし、一目で洋服を見つけることができるので、とても効率がいいのです。
棚を造作して、空間を無駄なく使う

リフォームをするなら、持ち物に合わせて、使いやすい衣類の“棚”を造作することをオススメします。棚を造作する時のポイントとしては、奥行きを取りすぎないこと。たいていの場合、約40センチの奥行きがあれば十分。スペースがもったいないからと言って奥行きのある棚を作っても、結局は出し入れが不便なため、うまく活用できません。
また、棚板は可動式にして、収納する物によって高さを調節できるようにしておくことがポイントです。
『わざわざ業者に依頼してリフォームするのは面倒だ』という場合は、「クローゼットシステム」がオススメです。これも、私が開発した商品なのですが、クローゼットの大きさに合わせて、自在に棚や引き出しを組み合わせることができます。
また、バタバタと倒れて収納しづらいカバン類も、「スタンド・アイ」というカバン用スタンドを利用することで、整理・収納が驚くほどラクになりますよ。

リフォームは自分への投資

みなさん、いかがでしたか?収納のコツ、少しお分かりいただけたでしょうか?
私が、収納に関するアドバイスを行っていて感じることは、部屋の使用目的をハッキリさせないままリフォームをしようする方が多いことです。
効率のよい収納スペースを確保するためには、まずリフォームに着手する前に“この部屋は「誰が」「何をするため」の部屋なのか”をハッキリさせることが大切です。そうすれば、自然と収納品や量なども決まってくるので、あとはリフォームを行うことで、それに合わせた収納スペースを確保すればよいのです。
リフォームを行うためには、当然ある程度の資金は必要です。しかし、出し入れの効率がアップすれば、片付けにかかる時間は格段と減少します。ですから、『もったいないな…』とリフォームを躊躇されている方は、“自由になる時間をお金で買う”と考えてみてはいかがでしょうか。
私がアドバイスさせていただいた方の中には、「自由な時間ができたので、ボランティアやパートを始めた」という方や、「休日は片付けに追われず、ゆっくりと過ごせるようになった」と喜んでいる方がたくさんいらっしゃいます。まずは、ご自分への投資と考えて、一歩踏み出されてはいかがでしょうか。
プロフィール:飯田久恵
収納カウンセラー/有限会社ゆとり工房 代表
家具メーカーにてシステムキッチン・収納家具の設計開発に携わる。その間、整理収納の重要性を痛感し、整理収納の基本的な考えから実践法までを指導する「収納カウンセラー」という職種を確立。現在では、整理収納に関するカウンセリング講座を開くほか、テレビ、雑誌などのメディアでも活躍中。
「パーフェクト収納のコツ」(NHK出版)「『捨てる!』快適生活」(三笠書房)など著書多数。








